第1回研修会、オンライン開催に90人参加

 

 同盟育成会は9月14日、2021年度の第1回奨学生研修会をオンライン形式で開催しました。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、東京都に緊急事態宣言が発令されていることから、今回も会場を使用した開催を見送らざるを得なくなりました。奨学生、選考委員、財団の理事を含め、過去最高の90人が参加しました。

 

 研修会では冒頭、新任の福山正喜理事長があいさつし、「今回もリモートとなったが、コロナが収束したら、対面で研修会をできると思う」と話しました。

 

 続いて、元上智大学教授の橋場義之氏が「プラットフォーマーは“第5の権力か”」、朝日新聞社編集委員・天草支局長の近藤康太郎氏が「善く、生きるとは」と題して、それぞれ講演しました。

橋場氏講演資料

橋場氏はまず、いわゆるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表されるプラットフォーマー(PF)が、ニュース提供の分野でも大きな力を持ってきたことを、データを交えて詳細に解説しました。その上で、欧米では、PFが新聞社などのニュースを転載する際に、著作権を見直したり、使用料の支払いを義務化させたりするなど、規制に踏み出していることを伝えています。一方、検索エンジン最大手のGoogleがモバイル端末向けに、個別メディアのニュースを選択できるサービスを開始するなど、PFも規制に対抗し始めていることを紹介。橋場氏は「新聞業界がまとまってPFと戦えるか」「その場合、団体交渉を独禁法の例外と扱えるか」がポイントになるだろうと見通しを示しました。 


アロハを着ている近藤幸太郎氏
近藤康太郎氏(朝日新聞編集委員・天草支局長)

 「アロハで猟師してみました」のコラムで知られる近藤氏は、新聞記者をしながら、米作りや狩猟、文章塾の運営まで携わってきた自身の経歴をユーモアたっぷりに紹介した後、新聞もテレビ局も厳しい将来が控えていることを指摘しました。ただ、「表現する」という行為自体がなくなることはなく、ニュースの配信がデジタルになっても「表現者であれば、生きていける」と強調しました。奨学生の半数が、修士課程の修了や学部の卒業を控えていることを踏まえ、ジャーナリストになる人にとっても、一般企業に就職する人にとっても、表現力が重要だと伝えました。近藤氏はさらに、「善く、生きる」の「よく」は「善く(善意の人であること)だけでなく、「良く(その日を一生懸命生きること)」でもあり「好く(好人物であること)」でもあると説明、「善く生きる人が、良い文章を書く」と話しました。

 


 講演終了後、奨学生からは「プラットフォーマーが巨大化する中で新聞業界はどうやって生き残るのか」「新聞社を全て落ちたが、文章を書く仕事をしたい。どうすべきか」など多数の質問が寄せられ、開催予定時間を超えて、講師が丁寧に回答しました。