新春恒例の同盟学寮の「成人を迎えた寮生を祝う会」が1月19日(日)、白山寮で開かれた。市谷寮から女子寮生47人が駆けつけ、白山寮生51人と合わせ98人が出席した。午前11時、同盟育成会の佐藤陽信常務理事・事務局長が開式を告げ、成人を迎えた寮生24人(白山寮11人、市谷寮13人)のうち、出席した20人の氏名を1人ずつ読み上げた。呼ばれた寮生は次々に起立し、回れ右してあいさつした(留学中や所用のため4人が欠席)。
まず山内豊彦理事長が「成人を迎えられた寮生の皆さん、おめでとう」と語りかけ、次のように祝辞を述べた。
「1週間前に故郷で成人式に出席した方も多いと思うが、同盟学寮の仲間たち、出身も大学も違う人たちから祝ってもらうのもいいものだと思う。今年は2020年、同盟学寮は創立80周年を迎え、皆さんにとっても記念すべき年だ」
「1週間前、麻生副総理が地元九州の成人式で『これからは悪いことをして、パクられたら名前が出るぞ』と語った。これから社会に出て、社会保険料を払い、今後の日本を背負っていく新成人に贈る言葉として、一国の副総理が語るとは思えない。よろしくお願いしますというのが筋だろう」
「それに比べ、非常に残念だったのはアフガンで亡くなった中村哲さんだ。大変立派な仕事を続けてこられた。なんでこんなに危ないところで、続けるのかと尋ねられ『危ないからと言って逃げたら、日本男児はすたる』と答えたそうだ」
「彼はクリスチャンだと思うが、北九州・若松の出身で作家の火野葦平の妹の息子。火野は沖仲士の頭領だった玉井金五郎の長男で、自伝的小説『花と竜』などの作品で知られる。玉井は祖父に当たり、任侠の人。血は争えないと思った」
「中村さんは座右の銘を聞かれ『一隅を照らす』と書いた色紙を見せた。私はこの『一隅を照らす』という言葉を、同盟学寮のあいさつで何回か言ったことがある。金銀財宝が日本の宝ではない。自分の周りを照らすような人間になる。それが国の宝だという意味だ」
「天台宗の最澄の言葉。彼はクリスチャンなのに仏教の教えを引用したことにびっくりし、中村さんへの思いを深いものにした。中村さんが20歳のころは、九州大医学部の2年か3年の学生だった。医学の勉強をしながら、いろいろなことを考え、その後の人生の進路を定めたのではないか」
「20歳のころは、人生の進路を固める非常に重要な時期だ。そのころ得た仲間、いろいろな価値観が人生を左右するのは間違いない。新成人の皆さんも、今後の学寮生活2〜3年でしっかりと身につけ、社会に羽ばたいていって将来の日本を背負っていただきたい」と、話された。
白山寮の黄田秀夫学寮長は「皆さんは、ご両親はじめいろいろな人たちの愛情を受けて、20歳を迎えたことをありがたいことだと感謝してください。そして自分の好きな道を見つけ、しっかりと歩み続けてほしい。大人になるということは、自分だけのために生きるのではない。多くの先輩たちの熱意や思いがあって、今の皆さんがある。今日から、皆さんもその仲間入りだ。人を思いやる優しい心を持った立派な大人に成長するよう、祈っている」と、祝辞を述べた。
市谷寮の齋藤美保子学寮長は「20代からの10年は、人生の土台を作り、方向付ける意味で大変貴重な時期。若い時の努力は、のちに何倍にもなって実を結ぶ。いま頑張らないのはもったいない。行動力のあるなしも人生を左右する。迷うほどに関心があることは、トライしてみるとよいと思う。自分の選択に責任を持って、今後の人生を切り開いていってください」と、祝辞を述べた。
山内理事長から、新成人1人1人に記念品の万年筆が贈られた。この後、白山寮生の新成人を代表して、家入祐大君が「本日は成人を迎えた私たちのために、このような式を開いていただきありがとうございます。大人の仲間入りをしたと言われても、まだ学生なので実感がわかない。1人の大人として社会に評価されるので、気を引き締めて生活していきたい」
「成人式で帰省した際、小学校の恩師から『親御さんへの感謝の気持ちを忘れてはいけない』と言われた。親の期待に全力で応えることが、感謝の気持ちを伝えることだと思う。大学生活を振り返ると、ぼんやりした生活をしている。授業料も決して安くはないので、親の期待に全力で応えていきたい」とあいさつした。
市谷寮生を代表して、倉成直佳さんが「理事長をはじめ、激励いただいた言葉をしっかり受け止め、今後も精進していく。市谷寮の次期委員長を務めることになった。委員会のメンバーの力を借り、寮全員がワンチームとなって、よりよい寮にしていく。20年間育ててくれた両親や育成会の方々、寮長、管理人さんへの感謝の気持ちを忘れず、成人としての自覚を常に持ち責任ある行動を心掛けて社会に貢献していきたい」とあいさつした。
式の終了後、新成人が並んで集合記念写真を撮影した。テーブルを並べて、お赤飯などのお祝い御膳を全員でいただき、新成人たちを祝福した。