同盟育成会・同盟学寮の創立78周年記念会が10月14日(日)、同盟学寮白山寮の1階ホールで開かれた。記念会には、同盟育成会や新聞通信調査会の関係者や同盟学寮OB、市谷寮と白山寮の寮生ら計180人が出席した。
式典に先立ち、岩波書店の辞典編集部副部長・平木靖成さんが「生きている言葉-辞典編集から見た日本語」との演題で講演した。平木さんは「広辞苑第七版」を編集した経験をもとに、変化する言葉を数多く例示。辞典は最大公約数を集めているが、それを踏まえて自由な発想をコミュニケーション能力に生かしてほしい-と説いた。
講演後、同盟育成会・同盟学寮の創立78周年記念式が行われた。育成会の佐藤陽信常務理事が、開式の辞を述べた後、山内豊彦理事長があいさつに立った。
理事長は「創立78周年を迎えた。1940年に通信社の大先輩、岩永裕吉さん、古野伊之助さんが大変な熱意と資金を拠出して創設された。太平洋戦争の前後、苦難な中で1日も運営を休まず今日まで続いてきた。戦後は時事、共同両通信社の後ろ盾、運営に当たった諸先輩、学寮の自治運営に努力してくれた寮生の先輩のおかげで、今日を迎えることができた」
「育成会は奨学金と学寮運営の2つの柱があり、奨学金は2009年に給与を始めた。2011年、財団から公益財団法人に移行した。定款に『経済的に困難を抱える学生に対し、寮と奨学金で支援し社会の発展に資する人間を育てよう。教育の機会均等に努めよう』とした」「奨学金は2015年から貸与をやめて給与に絞った。来年度は大学生50人、大学院生50人、年間100人が給与奨学金を受ける。寮は2014年に白山寮が完成し、男女別寮となった。両寮合わせて定員116人で、満杯状態が続いている」
「創設78年でここに至った。創業者のご努力に報いることができたかなと思う。奨学生100人、寮生と合わせ200人ちょっとで、世の中から見れば微々たる存在かとも思う。社会の一隅を照らし続ければ、世の中が明るくなり前進するのかなと思う。あと2年で80周年、人間で言えば傘寿を迎える。きちんと続けて行けば、百寿も迎えられる。皆さんのご支援をお願いします」と述べた。
白山寮の臼井佑作委員長は「この寮を創立した時、どのような思いが込められてできたのかをホームページで調べた。そこには働きながら学ぶ意欲のある学生を支援するとあった。今の寮生は、働いているけれど学んでいないとか、学んでいるがアルバイトはあまりしていないとか、両立できている寮生が少ないのではと感じた。比較的安い寮費で、環境を整えていただいているので、創立者の遺志に背くことをせず勉学と働くことをしっかりとやって行けるように、委員長として環境を作っていくよう努力していきたい」と、あいさつした。
次に市谷寮の荒竹奈緒委員長は「今、市谷寮は中規模修繕工事で足場が組まれている。工事が終わると外壁がきれいになり、照明はLEDに代わる。さらに恵まれた環境で寮生活を送ることができるようになる。78周年の歴史に感謝し、さらなる発展のために努力を傾けたい」と、あいさつした。
白山寮の黄田秀夫学寮長は「白山寮は今年4月に16人の新寮生を迎え、現在52人が共に生活している。夏のキャンプは8月初めに千葉県の岩井海岸で行い、市谷、白山の寮生合わせて84人が参加した。9月にはこの寮が属している原町町会の秋祭りで、6人の寮生が大人みこしを担いだ。白山寮の9月分の電気代が、4年間で最高を記録した。部屋に誰もいなくなる時には、エアコンや照明を切るように。寮生活で大切なことは、あいさつと相部屋の人や仲間への気遣いだ。寮を運営している同盟育成会に対しても、もう少し気遣って無駄遣いをしないようにお願いしたい」と、述べた。
市谷寮の齋藤美保子学寮長は「創立記念会にあたり、”学寮生活は単なる部屋借りではない。参会者を始めとする大勢の応援のもとにある”と寮生は再認識し、学生生活を頑張るよう期待する。市谷寮は女子ばかり62人を抱え、まもなく5年目に入る。寮生・管理人・学寮長が協力し知恵を出し合って、学寮らしい健やかで清潔な暮らしを今後も目指す」と、あいさつした。
その後、12時半からの懇親会は、新聞通信調査会の西澤豊理事長による発声で、一同乾杯して始まった。1階フロアがいっぱいの人であふれ、寮生らを囲んで歓談の輪があちこちで広がった。